2009年07月04日 21:54
最初はどうやって対応すればいいのか分からなかった。なぜなら、「きれいねえ」の言葉が本気なのか、病気が言わせているのか分からなかったからだ。しかし、ある先生の言葉をきいて納得した。
その先生曰く、ルーシーはその患者さんにとっては、その角度から見ると美人である。でも、木村拓也はどの角度から見ても、誰がみても男前だというのだ。
つまり、その患者さんにとって、ルーシーは美人という認識があるのだから、その患者さんが病気でも言葉に偽りはない。だから「きれいねえ」といわれたら、素直に喜べはいい。
ぼくは、ある患者さんからいつも「先生、おつかれさん」「よう働くねえ」ってねぎらわれたら、心からほっとする。
という話をうかがった。それをきいて、妙に納得した。
それ以来、わたしは「お姉さん、きれいねえ。かっこええねえ」と言ってくれるAさんやBさんの言葉を真に受けて喜んでいる。
あるとき、Aさんが
「いつもきれいねえ、かっこええねえ。なあ、僕と結婚してよ!」
と言ってきた。なにい、けっこん?
「だって、Aさんカノジョいるじゃない」
と返した。そう、Aさんは入院患者の女性といつもくっついていている。
「いやあ、あのこなあ、退院したんや。だから、オレ、フリーやで。なあ、結婚してよ」
ときたもんだ。うーん・・・。
「なあ、結婚してよ。オレ、絶対、まじめに働くから。絶対、苦労させへんから。なあ!」
と熱心に大きな声でみんなの前で口説いてくれる。恥ずかしい。看護師さんたちが笑っている。
本気できいているわけではないが、「まじめに働くから。苦労させへんから」の言葉に思わずホロリとくる。
Aさんは私と会うたびにプロポーズをしてくれる。ときどき、相手をするのが面倒になり、Aさんを見かけると、きびすを返して別の方向に行くこともある。でも、気分が沈んでいるときや、いまひとつパッとしないときはAさんの姿を探す。そして、ほめちぎられて元気になる。これじゃあ、どっちが患者なのか分からない。





